ダブル・スコープの第3四半期決算雑感

事前の予想と比べると第3四半期単独で増収減益となり、ここだけ見ると微妙。

しかし、韓国のPEから約100億をCBで調達しており、来季に向けて設備投資資金を確保できたことはポジティブサプライズだった。

調達スキームについては実務面の理解が乏しいことから想像になるが、以下感じたことをまとめてみたい。

キャッシュフローについて

現預金は -1,771(百万円)の残り 777 となった。

短期債務と長期債務は合わせて -945 となっている。第2四半期に払い込まれたMSワラントが約10億なので、債務の返済に充てたものと思われる。

未払金が 1,226増えているので、1771 + 945 + 1226 = 3942 キャッシュが必要だったと考えることもできる。

第4四半期に使えるキャッシュは第3四半期末の 777 とMSワラントの残り約20億、第4四半期も未払金を増やさないと余裕はない。

CBによる資金調達について

上記の通り第4四半期のキャッシュフローは厳しいが、PEにCBを割り当てる形で約100億円の調達を予定しているため、当面の資金繰りの目処がついたのではないだろうか。

ただ、割当先が本体ではなく韓国の製造子会社、それも10号ライン以降の新規製造ラインの子会社になっている。

ここからはPEの実務面の理解がないため想像なのだが、CBの利率は社債より低く、PEの求めるリターンに達しないのではないか。

とすると、社債を株式に転換したうえでダブル・スコープに買い戻してもらい、キャピタルゲインを得る予定なのではないだろうか。

その場合、ダブル・スコープが増資等で買い戻すための資金を調達する必要性は依然として残る。

業績について

第3四半期単体の業績の予想と実績については以下の通り。

実績(予想)

売上:3,026(2,802) 営業利益:-796(-585)

【6619】ダブル・スコープの決算短信 | iMarket(適時開示ネット)

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売上の上振れ分がほぼそのまま営業利益のマイナスにつながっており、内容はあまり良くない。

今後について

100億追加で資金が調達できれば、それ以降の資金調達のスケジュールは少し余裕ができる。

第4四半期で黒字確保 + 売上増を達成できれば、株価は底入れして増資の可能性も高まると思う。

当面の資金繰りの目処が立った可能性が高いため売り込みにくくなったが、四半期での黒字化がはっきりしないため、上値も限られていると思われる。